歯医者さんが教える、正しい歯みがきのコツ①

先日、定期検診にいらした患者様から、
「毎日ちゃんと磨いてるのに、どうして磨き残しがあるって言われるんでしょう?」
という質問をいただきました。
このご質問はとても多くの方が感じている疑問かもしれません。
毎日きちんと歯を磨いても磨けているつもり、と本当に磨けている、には差があることがよくあります。
お恥ずかしながらこれを書いている私も、「ちゃんと磨いてるのに虫歯になっちゃうんだよなー」と、歯学部の学生の時に歯の治療をお願いしたところ先生から、「磨いてると磨けてるは違うんだぞ。」と指導されたことをよく覚えています。
そこで今回は、歯科医の立場から正しい歯みがきのコツと今日からできるポイントをご紹介します。

目次
1.「歯みがき=汚れを落とすこと」だけではない
歯みがきの目的は「汚れを落とすこと」だけではありません。
歯の表面の汚れ(プラーク)を落とすのはもちろん、同時に歯ぐきを健康に保つこと・虫歯や歯周病を予防することが目的です。
プラーク(歯垢)は、細菌のかたまり。白くてやわらかいので、見た目では分かりにくいのですが、実は1mgの中に1億個以上の細菌が潜んでいます。大変な量なのが想像するだけでもわかるかと思います。
このプラークが歯と歯ぐきの間に残ると、虫歯や歯周病の原因になってしまいます。
「時間をかけてゴシゴシ」よりも、「的確に・やさしく・毎日続ける」ことが大切です。

2. 歯みがきのポイントは「毛先の当て方」と「力加減」
実は歯ブラシの当て方と力の入れ方を少し変えるだけで、磨き残しはぐっと減らすことができます。
ポイントは次の3つです。
①歯ブラシの角度は45度
②力は150gが目安
③小刻みに動かす
①歯ブラシの角度は45度
歯と歯ぐきの境目(歯肉溝:しにくこう)に、歯ブラシの毛先を45度の角度で当てましょう。
この角度で当てると、毛先が歯ぐきの中に入り込み、プラークを効率よく除去できます。
この磨き方を「バス法」と呼びます。
この磨き方は歯ぐきが弱っている方や出血がある方にもおすすめです。
最初は少しくすぐったく感じるかもしれませんが、続けるうちに歯ぐきが引き締まってくるのを感じられるはずです。

②力は150gが目安
つい力を入れてゴシゴシしてしまう方も多いですよね。
でも実は、強すぎると歯ぐきを傷つけてしまい、歯ぐきが下がったり、知覚過敏(しみる症状)を引き起こしたりします。
理想の力は150g程度。
歯ブラシを爪に当てて、爪の色がほんの少し白くなるくらいが目安です。
「軽く触れるように磨く」くらいで十分です。とは言え力加減はよくわからないというところが本音かもしれません。
普段右手で磨いている方は歯ブラシを左手に持ち変えて磨いてみると、力が入らないことがわかるかと思います。この力が入らないくらいが、ちょうど良い加減と思っていただけたらと思います。

③小刻みに動かす
歯ブラシを大きく動かすと、肝心な汚れが残りがちです。
1〜2本ずつ、小刻みに動かすイメージで磨きましょう。
1か所あたり10回くらいを目安に、歯の形に沿って、丁寧に当てていくのがポイントです。

3. 部位別・磨きにくい場所のコツ
歯の形や並び方によって、汚れが残りやすい場所は人それぞれですが、その中でも特に磨きにくい3つのポイントがあります。
①前歯の裏側
前歯の裏は、歯石が付きやすく、歯ブラシが届きにくい部分です。
歯ブラシを縦に持ち替えて、先端の3列くらいを使って上下に動かすと、しっかり磨けます。

②奥歯の奥(特に一番奥の歯)
奥歯の奥は、頬や舌が邪魔して、毛先が届きにくい場所です。
口を大きく開けすぎると頬の筋肉が引っ張られてさらに届きにくくなるため、やや口を閉じ気味にして磨くのがコツです。
また、歯ブラシの柄を斜めに倒して奥へ滑り込ませるように磨くと、より届きやすくなります。
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③歯と歯の間
歯ブラシだけでは6割ほどしか汚れを落とせないといわれています。
残りの4割は、歯間ブラシやデンタルフロスを使って落とす必要があります。
歯間ブラシは「通るけど引っかからない」サイズを選ぶのがコツです。
無理に大きいものを使うと歯ぐきを傷つけることがあるため、初めての方は歯科医院で適切なサイズを見てもらうのがおすすめです。

4. まとめ
いかがでしたか?
歯みがきは「毎日の小さな習慣」ですが、その積み重ねが、将来の歯の本数や健康を左右します。
しっかり磨いているのにトラブルが続く方は、力加減や当て方を少し変えるだけで大きく改善することもあります。
歯科医院では、実際に鏡を見ながら「磨き方のチェック」や「歯ブラシ選び」のアドバイスも行っています。
気になる方はぜひ一度、担当の歯科衛生士や歯科医師に相談してみてくださいね。
あなたのいつもの歯みがきが、今日からもっと効果的になりますように。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。



