歯科治療における麻酔はどんな種類があるの?〜前編〜
こんにちは、土呂駅あつ美歯科クリニックです。
歯医者さんと聞いて、『痛い!』と連想する方は多いのではないでしょうか。
そんな歯医者の痛いイメージを払拭させるアイテムとして使われるのが麻酔です。麻酔は、痛みの不安を和らげ安心して治療を受けるための大切なアイテムとなります。
治療で歯を削ったり、時には抜いたりと痛みの負担を軽減できるように適切な量を使用しますが、その麻酔にはいくつか種類があるのをご存知でしょうか?
そこで今回は、麻酔の種類についてご紹介し、目的や効果や特徴などをお話します。
麻酔の種類は使い方に応じて分けられます。
このコラムでは
1.表面麻酔
2.浸潤麻酔
3.伝達麻酔
4.笑気麻酔
5.静脈内鎮静法
6.全身麻酔
の6つを前編・後編に分けてご説明していきますね。
目次
前編(表面麻酔・浸透麻酔・伝達麻酔)
1.表面麻酔
表面麻酔とは、お口の粘膜にジェルやスプレー、貼るタイプの麻酔薬を塗布することで、浅い表面の部分の感覚を一時的に麻痺させるものです。
表面麻酔の目的
注射麻酔の際に針が刺さる痛みを和らげるために使用されます。また、歯石をとるクリーニングなど軽い処置にも用いられることがあります。
効果
即効性があり数分で効いてきますが、塗布した表面部分だけで深い部分の痛みを和らげることはできません。あくまで補助的な麻酔で継続時間は10分ぐらいが目安となります。
使用法
①表面麻酔を施したい部分の粘膜(歯茎)を乾かす
②表面麻酔を浸した綿球(滅菌された綿を丸めたもの)を該当部分に置く
③数分待つ
2. 浸透麻酔
歯科治療で最も一般的な麻酔方法で、直接麻酔薬を歯の周囲の歯肉や歯槽骨(歯を支える骨)に注射し、歯の周辺組織を麻痺させます。
浸透麻酔の目的
歯の治療や抜歯、インプラントなど外科的処置中の痛みを和らげるために使用されます。
効果
注射された麻酔薬が神経周囲に広がって感覚が麻痺し、治療中の痛みが感じなくなります。麻酔薬の種類にもよりますが、数分〜10分程度で麻酔の効果が現れ、2〜3時間程度持続し、治療中の痛みをしっかり抑えます。
使用法
①表面麻酔のされている部位に、人肌程度に温めたディスポーザブル(ディスポ)の麻酔薬の入ったカートリッジを注射器に装填させる
※1
②ディスポーザブル(ディスポ)の針を装着する
※2
③浸潤麻酔を奏効させたい部位に注射します。
〜麻酔の痛みを軽減させる取組みとして〜
※1
麻酔液と体温の温度差が大きいと痛みを感じやすくなるため、土呂駅あつ美歯科クリニックでは、人肌程度に温めた麻酔液を使用しています。
※2
土呂駅あつ美歯科クリニックで使用する麻酔の針は、31G(ゲージ)や33Gのものを使用してきます。針の太さは数が大きくなるほど細くなり、細ければ細いほど針の刺さる時の痛み(刺入点の痛み)が軽減されます。一般的な血液検査を行う時の針の太さは、概ね21〜22Gのものになります。
3. 伝達麻酔
浸透麻酔よりさらに広範囲を麻痺させ、複数の歯の治療などを扱う際、また効きにくい場所に使用する方法です。特に下顎の治療で使用されることが多く、埋もれている親知らずの抜歯等に用いられます。ここでは下顎の伝達麻酔についてご説明します。
伝達麻酔の目的
下顎の骨は硬く、浸潤麻酔が効きにくい場合があります。そのため、神経の起点付近に麻酔を作用させることで、その神経の支配の及んでいる部分全体の感覚を遮断します。下顎半分全体に加え、舌や下唇など広範囲の感覚を遮断します。
効果
麻酔薬が効くまで少し時間がかかる(長くても10分程度)ことがありますが、奏効するとしっかりとした効果が見込まれ、継続4時間〜6時間と長時間効いています。
使用法
①伝達麻酔専用の注射器に、ディスポーザブルの麻酔薬(浸潤麻酔と同じ種類)とディスポーザブルの針を装着する
※伝達麻酔の時は浸潤麻酔とは異なり、麻酔の針は太く長くなります。これは神経支配の始まり付近に麻酔を行うためです。
②お口を開けてもらい、奥歯の奥の歯茎の神経支配の始まり(下顎孔)付近へ針を刺します。
麻酔が血管に入っていないか、血液の逆流がないか確認しながら行います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
歯茎の表面だけの感覚を鈍らせる麻酔から歯医者で一般的に使用される浸透麻酔、浸透麻酔より広範囲に効果が必要な場合の伝達麻酔を紹介しました。麻酔の種類や効果を知ることで、歯の治療の不安を軽減することができます。わからないことがあれば歯医者の先生に相談してみてくださいね。