なぜ麻酔は効くの?歯科治療で使われる麻酔の仕組みと安心につながるポイント

先日友人と雑談をしていると、なんで麻酔って効くんだろうね、不思議だよね。という疑問がありました。
そこで今回はなぜ麻酔が効くのか、歯科麻酔の仕組みとそのポイントについてお話したいと思います。
目次
1.麻酔はどんな働きをする?
麻酔は、下記のような目的と特徴があります。
①麻酔の目的
麻酔の目的は、「痛みを感じさせなくすること」です。
歯科治療では、ほとんどの場合「局所麻酔(きょくしょますい)」という方法が使われます。
②局所麻酔の特徴
局所麻酔は、治療する部位だけに麻酔薬を注射し、その周囲の神経の働きを一時的にストップさせます。神経を通して脳に伝わる痛みの信号を途中でブロックすることで、痛みを感じなくなるのです。

2.麻酔が効く仕組み
麻酔が効く仕組みと麻酔の作用を、ご紹介します。
①神経の信号とは
神経の中では、「ナトリウムイオン」などの電気信号によって情報が伝達され、これが脳に「痛い!」という信号を送ります。
②麻酔薬の作用
麻酔薬はこの電気の流れを一時的に遮断する働きがあります。
電気が流れなければ神経が反応せず、痛みの信号が脳に届かなくなります。つまり、神経のスイッチをOFFにするのが麻酔薬です。

3.麻酔はどのくらいで効く?持続時間は?
麻酔がどのくらい効くか、また持続時間については下記の通りです。
①効果の開始時間
使われる麻酔薬の種類にもよりますが、おおよそ注射してから2〜3分ほどで、麻酔が効き始めます。
②持続時間としびれ感
1時間〜1時間半ほどは、効果が持続します。
唇や歯ぐきのしびれは2〜3時間ほどで自然に回復します。

4.麻酔が効きにくいことはあるのでしょうか?
麻酔が効きにくいタイミングとして、主に、下記のものがあります。
①炎症がある場合
膿や腫れがあると酸性環境となり、麻酔が効きにくくなります。
このような場合、麻酔の量や方法を調整したり、先に炎症を治療します。

②緊張が強い場合
緊張状態では交感神経が優位になり、痛みに敏感になります。
不安があるときほど、麻酔の効果を感じにくいことがあります。

③効きにくい部位の場合
下の奥歯は骨が硬く、通常の方法では麻酔が効きにくいことがあります。
その場合は、伝達麻酔など別の方法を選択します。
5.歯科の麻酔って安全?副作用はあるの?
歯科の麻酔が安全かどうかについて、ご紹介します。
①麻酔薬の安全性
日本で使われている局所麻酔薬は厚生労働省に認可されており、安全性が高いものです。
妊娠中や授乳中でも使用できる麻酔薬もあります。
②起こりうる副反応
起こりうる副反応として、
・長くしびれが残ることがある
・内出血や腫れ
・血管収縮剤による動悸やめまい
といったものがあります。
いずれも一時的なものがほとんどですが、異常を感じた場合はすぐに歯科医師へ伝えましょう。

6.「チクッとするのが怖い…」という方へ
チクッとした痛みが怖い方には、下記のような方法で行っている歯科医院がおすすめです。
①表面麻酔の使用
②細い針の使用
③麻酔薬を温める
④麻酔薬をゆっくりと注入する工夫
①表面麻酔の使用
注射の前に塗る麻酔薬を使い、針を刺すときの刺激を感じにくくします。
②細い針の使用
31〜33Gという髪の毛ほどの太さの非常に細い針が使われ、痛みを大きく軽減します。
③麻酔薬を温める
使用する麻酔薬を体温程度に温めることで、体内に薬液が入る時の痛みを軽減させます。
③4ゆっくり注入の工夫
急に薬液を入れると圧力で痛みが出るため、注射し始めは1秒間に数滴程度のゆっくり丁寧に注入することで、痛みを抑えます。

7.まとめ

いかがでしたか?
「麻酔が本当に効いているのかな?」「効かなかったらどうしよう…」そんな不安があっても、麻酔の仕組みを知れば安心につながります。
麻酔は治療中の痛みを取り除く、なくてはならないものです。
不安なことがあれば、どんな小さなことでも歯科医師、スタッフにご相談くださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。