40代以降増える「根っこのむし歯」とは?その原因と予防法

年齢を重ねると、お口の中にさまざまな変化が起こってきます。
中でも、意外と知られていないのが「歯の根っこにできるむし歯」。
これは歯科用語では「根面う蝕(こんめんうしょく)」と呼ばれ、特に高齢の方に多く見られるトラブルです。
今回は、この「歯の根っこにできるむし歯」について、原因やご自宅でできる予防法、歯科医院でできるケアをご紹介します。
目次
1. 高齢になると歯の根っこがむし歯になる理由
① 歯ぐきの下がりによって歯の根が露出する
② 根っこは酸に弱い
③ 唾液が減って細菌が活発になりやすい
④ 磨き残しや入れ歯の影響
① 歯ぐきの下がりによって歯の根が露出する
加齢により歯ぐきが下がってくると、本来は歯ぐきの中に隠れていた歯の根元が見えてきます。
この部分はむし歯にとてもなりやすい構造をしています。

② 根っこはエナメル質の裏打ちがない
露出した歯の根元(歯根面)は、歯の表面の白くて硬いエナメル質ではなく、エナメル質に比べると格段に柔らかい象牙質でできており、むし歯が進行しやすくなります。

③ 唾液が減って細菌が活発になりやすい
加齢とともに唾液の分泌が減少します。
唾液には「細菌を洗い流す」「細菌の増殖を抑える」といった働きがあり、それが弱まると、細菌の活動は活発になりむし歯リスクが高まります。

④ 磨き残しや入れ歯の影響
長い間に形成された歯磨きの習慣は素晴らしいものですが、どうしてもその方その方によって磨き方のクセがあり、磨き残しがちな場所があります。
また加齢により手の動きが不自由になったり、入れ歯の周囲に細菌がたまりやすくなることで、磨き残しが増えてむし歯菌が活発になります。
特に入れ歯のバネがかかる歯は注意が必要です。

2. お家でできる虫歯予防法
① フッ素入り歯みがき剤を使う
② 歯間ブラシやフロスで「すき間ケア」
③ 唾液を増やす工夫をする
④ 入れ歯のお手入れを忘れずに
① フッ素入り歯みがき剤を使う
フッ素には歯の再石灰化を促す働きがあり、むし歯予防に非常に有効です。
特に成人以降は「高濃度フッ素(1,450ppmF)」の歯みがき粉がおすすめです。市販されている歯磨き粉にも裏返すとフッ素量が記載されています。

② 歯間ブラシやフロスで「すき間ケア」
歯ブラシだけでは取りきれない歯と歯の間や、入れ歯と歯の境目も、歯間ブラシやフロスで清掃しましょう。
1日夜1回など、少しずつ習慣にすることが大切です。

③ 唾液を増やす工夫をする
唾液を増やすには、よく噛む、キシリトールガムを活用する、水分補給をこまめに行うなどの方法があります。
日常の中で意識して行いましょう。

④ 入れ歯のお手入れを忘れずに
入れ歯は毎晩外して入れ歯用ブラシと洗浄剤でしっかり清掃します。
バネがかかる歯には特に汚れがたまりやすく普段もかかるので、丁寧なケアが必要です。

3. 歯科医院で行う予防法
① 定期検診でむし歯の早期発見
② フッ素塗布で歯を強くする
③詰めものや差し歯、入れ歯やブリッジのチェック
① 定期検診でむし歯の早期発見
根っこのむし歯は、見た目では気づきにくいこともあります。
定期検診を受けることで、小さなむし歯も早期に見つけることができ、様子をみて行くのが、削る必要があるかなど対応できます。

② フッ素塗布で歯を強くする
歯科医院では、より高濃度のフッ素を直接歯に塗布することができます。
3〜6か月ごとのフッ素塗布で、根面のむし歯予防に効果があります。

③ 詰めものや差し歯、入れ歯やブリッジのチェック
詰めものや差し歯などはセメントを使用し歯と詰めものをくっつけています。付けてから長期間経つと、セメントの劣化により歯との境に隙間が出来たり、虫歯になることもあります。
また入れ歯やブリッジが合っていないと、周囲の歯に負担がかかり、むし歯になりやすくなります。
定期的にチェックを受けて、お口に合った状態を保ちましょう。

4. まとめ
いかがでしたか?
「根っこのむし歯」は、加齢によって歯ぐきが下がったり、過度な力の歯磨きにより露出した歯の根がむし歯になりやすくなることで起こります。
進行しやすく気づきにくいため、予防がなによりも大切です。
毎日のセルフケアに加えて、歯科医院でのプロケアを組み合わせることで、健康なお口を保つことができます。
「いつまでも自分の歯で食べたい」
「入れ歯でも快適に食事を楽しみたい」
そんな願いを叶えるために、今日からできることを一つずつ始めてみませんか?
ご自身やご家族の健康を守る第一歩として、ぜひお役立てください。
最後までお読みいただきありがとうございました。