知覚過敏の治療法について
こんにちは土呂駅あつ美歯科です。
先日、ご来院いただいている患者様から『この頃家族が歯がしみているらしく、どんな治療をするのか教えてほしい』とご質問をいただきました。
詳しくお話を聞くと、
- 冷たいものがしみる。
- 痛みが長時間続くわけではない。
- 普段はなにも不自由なく過ごせる。
- しみる時は瞬間的にしみる感じがある。
とのことでした。
この場合、まず疑われるのが「知覚過敏」です。
前回は「知覚過敏の原因について」お話しました。そこで本日は「知覚過敏の治療法について」お話しします。
目次
歯の構成
歯は歯冠と呼ばれる歯の白く見える部分と、歯根と呼ばれる通常歯ぐきの中に埋まっている根っこに分かれています。その内部は神経やセメント質、象牙質で構成されています。
その他、歯槽骨や歯根膜などで構成されています。
このコラムでは知覚過敏に関係のある、エナメル質・象牙質・歯髄(歯の神経)にフォーカスしてお話します。
エナメル質とは
白く見える部分はエナメル質と呼ばれています。エナメル質は鎧のように硬く、冷たい刺激や熱い刺激、食物や噛み合わせによる刺激などさまざまな刺激から、文字通り鎧のように歯を守っています。エナメル質には歯の神経(歯髄)と直接つながっていないため、痛みを感じる知覚がありません。初期の虫歯がしみないのはこのためです。
象牙質とは
エナメル質の下にあるのが「象牙質」になります。象牙質はそのさらに下にある神経を守るように覆われていて、象牙細管と呼ばれる神経の枝葉が通っています。この象牙細管に刺激が到達すると、しみるようになります。
歯の根っこは、エナメル質に覆われておらず、歯茎に埋まっていますが象牙質がむき出しの状態になります。知覚過敏が歯と歯茎の境に起こりやすいのは、この理由によるものです。
知覚過敏とは
知覚過敏は、歯の内部にある「象牙質」が関係しています。
お口の外からの刺激、例えば歯ブラシや冷たい飲み物や食べ物、同様に温かいもの、さらに甘いものなど。あるいは冷たい風が象牙質に当たった時に起こる、一過性のお痛みで、この場合には虫歯など歯の神経の炎症がない場合を指します。
このような刺激が象牙細管を通り、神経に伝達されるとしみる症状が起きてしまう。これが知覚過敏の正体です。
知覚過敏の治療法
治療法はいくつかあります。
①お薬を塗る方法
②コーティング剤を塗る方法
③詰めものをする方法
これらが代表的な治療方法です。
①お薬を塗る方法
知覚過敏用の薬を該当する歯に専用のチップなどで擦り付け、症状を和らげるものです。知覚過敏の治療の中では比較的侵襲の少ない治療法となります。
ただし、銀が入った薬を使用すると銀が酸化する作用により、歯が少し黒ずむことがあるので気を付けましょう。
②コーティング剤を塗る方法
虫歯治療に使うコーティング剤を塗り光で固めてコーティングを行う方法です。これは「レインコート」を着ると雨が凌げるようになるかと思いますが、それと同じイメージです。レインコートを脱げば雨に濡れてしまうように、コーティングがしっかりしている間はしみませんが、剥がれてきてしまうと、またしみることがあります。
③詰めものをする方法
歯ぎしりなどにより歯と歯茎の境が楔(くさび)状にかけていたりなくなっている場合には、歯の表面を少し擦るように粗造にし、歯の色に似せた強化型プラスチックを詰め、光を照射して固める方法です。
〜ご自宅でできる知覚過敏の対策〜
ここまで歯科医院で出来る知覚過敏の治療についてお話しましたが、通う時間が取れないなど歯科医院へ行くまでに自宅で出来る対策はないのかと思われると思います。ご自宅での対策として、
①知覚過敏用の歯磨き粉の使用
②食生活での工夫
などが挙げられます。
①知覚過敏用の歯磨き粉の使用
歯磨き粉を使って完全に知覚過敏を防ぐことは出来ませんが、知覚過敏用の歯磨き粉を使うことによって、ある程度の症状の緩和が見込めることがあります。
②食生活での工夫
どんなに知覚過敏の症状が強い場合にも、ご自身の唾液がしみることはないのではないでしょうか。唾液はご自身の体温と大きな温度の差はなく、つまり体温に近い温度であればしみることは防げるということになります。
少しぬるめの温度や体温程度での食べ物や飲み物によって症状は緩和が見込まれます、また飲み物であればストローを使うこともおすすめします。お試しください。
いずれの場合も早めの歯科への受診をお勧めします。
まとめ
いかがでしたか?
知覚過敏はお口の外からのさまざまな刺激によって起こる、一過性のしみる症状のことを言います。
治療法には
- 薬を塗る方法
- コーティング剤を塗る方法
- 詰め物を詰める方法
などがあります。
冷たいものを口にするたびにしみるのはとても辛いことです。
通院がすぐには叶わない場合には、専用の歯磨き粉の使用や飲食での温度の工夫も一案です。
コーティング剤を塗ることなどで症状は劇的に改善することもあります。早めに歯医者さんへご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。