歯磨き粉の選び方〜虫歯予防編〜
こんにちは、土呂駅あつ美歯科クリニックです。
患者様から『いろいろな歯磨き粉があるけれど、自分に合ったものがわからなくて、いつも同じものを買ってしまう。なにか目安みたいなものはありますか?』と質問を受けることがあります。
歯磨き粉には、目的に合わせたさまざまな種類があります。例えば、虫歯予防を目的とする場合にはフッ素配合のものが適しており、歯周病を防ぎたい方には殺菌成分入りのものがおすすめです。また、着色が気になる方には、ステイン(着色汚れ)を落としやすい成分が含まれたものもあります。他に知覚過敏用や液体歯磨きなどのバリエーションもあり、主に5種類程度に分けられます。
そこで今回は、『虫歯予防に重点をおいたフッ素入り歯磨き粉』について詳しくお話します。
フッ素入り歯磨き粉の効果は大きく3つに分けられます。
①再石灰化
②抗菌作用
③歯質強化
①再石灰化
特に虫歯予防に効果的です。
フッ素は歯を『再石灰化』を促進してくれる作用があります。
ご飯を食べた後は、お口の中が酸性に傾き、ph5.5以下になると『脱灰』が起こります。『脱灰』とは、歯の表面(エナメル質)からカルシウムやリン酸やその化合物であるハイドロキシアパタイトが溶け出すことを言います。それに対抗するように、『再石灰化』が起こります。『脱灰』によって溶け出したカルシウムやリン酸、ハイドロシキアパタイトが再び歯に戻ることを『再石灰化』と言います。
フッ素はこの『再石灰化』の働きを促進してくれます。
お口の中では、この『脱灰』と『再石灰化』が交互に起きているのです。なんと飲食をすると2.3分後には『脱灰』が始まってしまうのです。これを中性に戻すには30分ほどかかると言われています。つまり、いつもお口の中に食べものがあるような状態だと、酸性に傾く時間が長いため『脱灰』してしまいます。
②抗菌作用
フッ素には『抗菌作用』が備わっています。フッ素そのものに抗菌性があり、お口の中に残った歯垢(プラーク)が作る虫歯の菌の活動を弱くしてくれたり、虫歯の原因菌であるミュータンス菌の発育を防いでくれます。また虫歯菌が歯にくっつく作用も抑制してくれます。
③歯質強化
フッ素は、フッ素とともに修復された歯の結晶(ハイドロキシアパタイト)は『歯質を強化』してくれ、虫歯になりにくい歯質を作ってくれます。
ある文献では、フッ素入りの歯磨き粉を使った結果、歯の根元の虫歯が67%抑制されたと言う報告もあります。
市販品では、フッ素はフッ化ナトリウムやモノフルオロリン酸ナトリウムといった有効成分として含まれ、1450ppmのフッ素濃度までが市販されています。従来1000ppmのフッ素濃度までと規制されていましたが、2017年3月に国際基準に合わせ、1500ppmまで認められるようになりました。市販のものでは高濃度のフッ素入り歯磨き粉として1450ppm配合のものが販売されています。
ただし6歳未満のお子さまでは、フッ素症の観点から1000ppmまでのものを使用するように推奨されています。
ここまでフッ素の働きについてお話しました。では虫歯予防に効果的なフッ素入り歯磨き粉ですが、どのように使うのが効果的なのでしょうか。
それはずばり、なるべくお口の中に長く留まるようにすることです。
〜歯磨きをするとき〜
①歯磨き粉を約2センチ程度出します
②お口全体に行き渡るように伸ばします
③最低でも2〜3分ほど磨きます
〜うがいのときも気をつけて〜
歯磨きのあとのうがいは、
①大さじ1杯程度、多くても2杯程度のお水を含みます
②約10秒程度うがいを行います
③吐き出したら、お水で再度のうがいは控えます
④その後は1.2時間程度は飲食を控えましょう
まとめ
いかがでしたでしょうか
フッ素入り歯磨き粉は虫歯予防に効果的です。フッ素は再石灰化を促進し、歯質を強化、抗菌作用で虫歯菌の活動を抑えます。使用方法は、歯磨き粉を2センチ程度出し、2〜3分間しっかり磨き、その後、少量の水でうがいをし、再度うがいは控え、1〜2時間飲食を避けると効果が高まります。
わからないことがあれば、歯医者さんに相談してみてくださいね。
土呂駅あつ美歯科クリニック
院長 成田紗織