舌(ベロ)の動きについて
こんにちは、土呂駅あつ美歯科クリニックです。
先日、患者様から『うちの母と話していても何を言っているのか、聞き取れず聞き返してしまうことが多くなったんです、なにか原因はありますか』と相談を受けました。
原因として考えられるのは「舌(ベロ)」の動きです。
そこで今回は「舌(ベロ)の動き」についてお話しします。
目次
1. 舌の動きの重要性
舌の動きがスムーズでないと、さまざまな問題が発生することがあります。例えば、舌に汚れが付きやすくなったり、発音が不明瞭になってしまい、先ほどのご相談のように「何を言っているのかわからない」と言われてしまうこともあります。年齢を重ねるにつれて、体全体の筋力が衰えて来るように口周りの筋肉も衰えてきますが、舌も同様にその影響を受けます。
例えば特に寒い地域、青森や秋田のような場所では、寒さのために口を大きく開けずに話すことが多く、これが独特の方言にも繋がっているようです。
ご高齢の方では、口をしっかりと開けずに話すことや、舌の動きが不十分であることが発音の不明瞭さに繋がることがあります。
さらに、学校の校長先生が「おはようございます」とはっきり挨拶をすると、子供たちもはっきりと「おはようございます」と返事をします。しかし、口や舌をあまり動かさずに発音すると「おはようございます」が「あへよーごだいます」と聞こえてしまうことがあります。このように、舌がしっかりと上顎(口蓋)に当たらないと、言葉が明瞭でなくなり、相手に伝わりにくくなります。
つまり、舌の筋肉がしっかりと動かすことが大切で、これが発音の明瞭さに直接影響します。例えば、「ありがとうございます」が「えれあよおやいえす」のようにに聞こえてしまうことがありますが、これは舌の動きが不十分なために起こります。聞き返しが多くなるなどお互いのコミュニケーションがスムーズでないと、ストレスが溜まってしまいますので、舌の動きを意識したトレーニングを行うことが大切です。
2.舌のトレーニング方法
「パタカラ体操」などのトレーニングが舌の動きを改善し、発音を明瞭にします。
「パタカラ体操」の発音
よく聞かれる「嚥下(えんげ)体操」や「パタカラ体操」は、舌の動きを鍛えるために非常に効果的です。「パタカラ」という音を発声する際、舌をしっかりと意識して動かすことがポイントです。ただ単に言うだけではなく、舌が上顎にしっかり当たるように「パ」「タ」「カ」「ラ」と発音します。
「パ」の発音
「パ」の音を発生する時には破裂音と言い、上唇と下唇でしっかりとお口を閉じて、一気に解放することで発声します。
「タ」の発音
「タ」の音を発声する際には、舌の先端が上前歯の裏に当たることを意識しましょう。この場合にも『ッタ』と一気に息を吐き出すように行うと効果的です。
「カ」の発音
「カ」の音を発音する時は、喉の奥を開くように『ッカ』と小さな『ツ』を含んだ発音が効果的です。喉を開くイメージがしにくい場合には、ガラガラうがいをする時をイメージしたり、痰が絡んでしまい、その痰を吐き出そうとするような動きをイメージすると想像しやすいかもしれません。
「ラ」の発音
また、「ラ」の音は舌が上顎に引っかかるような感じで発音しますが、L音(英語の「L」など)では舌先が上顎の天井に触れる感覚を意識してください。こうした細かな発音の違いを意識して練習することで、舌の筋肉が改善されて、発音がスムーズになり発音が明瞭になっていきます。
3.日常生活でのトレーニング
舌は筋肉でできています。筋トレという言葉があるように、トレーニングによって鍛えることができるのです。例えば、短い距離しか歩けなかった方がお買い物に行けるようになったり、長い間座れなかった方が筋力トレーニングを通じて座れるようになったのと同じように、舌もトレーニングをすることで筋力がつき、動きが改善されます。舌のリハビリは、発音の改善や食べ物をしっかりと噛むために非常に重要です。
舌のトレーニングというと堅苦しく聞こえますが、日常生活に取り入れてみましょう。たとえば、テレビを見たり会話をしながら「この服が欲しい」「このお店行きたい」などと楽しく話したり、たくさん笑うことも、舌のトレーニングになります。お一人ではなく、誰かと一緒に会話を楽しむことで、表情も豊かになり、発音が改善され発声が明瞭になるだけでなく、舌の動きも自然と鍛えられます。
まとめ
舌の動きがスムーズでないと、汚れが付きやすくなったり、発音が不明瞭になることがあります。
また年齢を重ねると、口周りの筋肉や舌も衰え、発音に影響を与えることがあります。
「パタカラ体操」などのトレーニングが舌の動きを改善し、発音を明瞭になり、
日常生活の中で楽しく会話をすることも、舌のトレーニングに役立ちます。
舌の動きは、発音や食事、さらには健康にまで大きな影響を与える大切な要素です。舌のトレーニングを日々意識し、健康的な口腔環境を維持していきましょう。