指しゃぶりがやめられない
先日、うちの子はテレビを見ている間や寝ている間などいつも指しゃぶりをしていて、歯並びに影響がないかと心配だというご相談をいただきました。
指しゃぶりは1歳から4歳までの間に23%〜46% の子どもが経験していると報告されています。その多くは4〜5歳までに指しゃぶりをしなくなりますが、中には長期に渡り習慣化する子もいます。
そこでこのコラムでは、子どもの発達と指しゃぶりについてご説明していきます。
結論からお話すると、
①3歳未満である
②指しゃぶりするのが短時間である
場合には、神経質に心配することはありません。
目次
〜指しゃぶりとは〜
指しゃぶりとは、いずれかの指を口蓋(上の歯の天井の部分)に押し付ける仕草を言います。
チュッチュッやチューチューと指を吸うことで口の中が陰圧になり圧力が高まるので、長期間に続けると歯並びや噛み合わせに影響を及ぼすことがあります。
~子どもの発達と指しゃぶり~
1.胎児期
胎生14週ごろから‥
口に手を持っていくようになります。
24週頃‥
指を吸う動きが出てきます。
32週頃‥
指を吸いながら羊水を飲み込む動きも出てきます。
胎児期の指しゃぶりは、産まれてすぐに母乳を飲むための練習として、とても重要な役割を果たしていると考えられています。
2.乳児期(1歳まで)
生後2~4か月ごろ‥口の近くにきた指や物を捉えて無意識に吸います。生まれながらにして持っている反射は原始反射と呼ばれていますが、そのうちの吸啜反射(きゅうてつ)によるものです。
5か月ごろ‥赤ちゃん自らなんでも口に持っていってしゃぶります。
このような動作は目と手の協調運動の学習と合わせて、いろいろの物をしゃぶって形や味、そしてその性状を学習するためと考えられています。
3.生後1~2歳の幼児期
積み木やブロックを積み重ねたり、手押しのおもちゃの乗り物を押したり、お人形を抱きしめたり抱っこしたりする遊びがみられるようになると、他に夢中になる時間が出来るので、昼間の指しゃぶりは減少していきます。
退屈なときや、眠たいときなどに限られて見られるようになります。
4. 年少さんから小学校に上がる前まで(3歳~就学前まで)
お母さんと離れた生活(母子分離)ができるようになり、子どもが家庭から外へと活動の場を移し、お友達と遊ぶようになると指しゃぶりは自然と減少していきます。5歳を過ぎると指しゃぶりはほとんどみられなくなります。
言葉の理解も深まってくるので、声がけにより改善することもあります。
5.小学校入学以降の学童期
6歳になってもまれに昼夜であったり、あるいは頻繁に指しゃぶりをしている子がいます。この時期になると特別な対応や積極的に介入しない限り、自然に消失することは少なくなります。
~まとめ~
・指しゃぶりは3歳頃までは、常に指しゃぶりしているなどであれば特に禁止する必要はありません。
・お子さんの生活のリズムを整えることが大切です。
・外遊びや運動を存分にすることにより、体力を十分に消費させましょう。
・手を使った制作や会話を楽しむなどの機会を増やしていけると良いでしょう。
次回は『指しゃぶりと噛み合わせ』について話していきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。