歯科衛生士さんのお仕事③〜歯科疾患の予防処置、PMTCに使う道具と効果〜
歯科衛生士と聞いて、どんなイメージが頭に浮かぶでしょうか。
- 歯医者さんにいる人
- 歯石を取ってくれる人
- 歯磨きの仕方を教えてくれる人
- 歯医者さんの横で唾を吸ってくれる人
などでしょうか?
歯科衛生士はさいたま市の場合、1歳6ヶ月健診(検診)から始まり、高齢になり来院が難しくなった方への訪問口腔ケアに至るまで、実に幅の広い世代の方たちのお口の健康をサポートできる魅力的なお仕事です。
お口の健康があってこそ、好きな食べ物やお食事を美味しく食べたり、会話やコミュニケーションを楽しんだりできると言っても、言い過ぎではないのではないでしょうか。
このコラムでは、お口の健康のプロ、歯科衛生士のお仕事について触れてみたいと思います。
目次
歯科衛生士法
国家資格である歯科衛生士は、『歯科衛生士法により、歯科疾患の予防及び口腔衛生の向上を図ることを目的とする』と定められています。
また同様に歯科衛生士法により業務も定められており、
- 歯科疾患の予防処置
- 歯科保健指導
- 歯科診療の補助
と3つの業務に分けられています。
歯科疾患の予防処置
歯科予防処置とは、虫歯(むし歯)や歯周病を防ぐための業務です。
現在日本人が歯を失う原因の8割以上実に85%が、虫歯あるいは歯周病によるものです。
その他矯正治療に伴う抜歯や、埋伏歯(まいふくし)と呼ばれる顎や歯ぐきに埋まったままの歯の抜歯により歯を抜いています。
虫歯や歯周病を防げれば、自身の歯を長く保つことが出来ます。歯科衛生士による歯科疾患の予防処置とは、こうした歯やお口の中の疾患を予防を目的としています。
具体的にはどんな処置があるのでしょうか。
歯科衛生士が行う歯科疾患の予防処置の内容
主に以下の4つが挙げられます。
- 一般に歯石取りと呼ばれるスケーリング
- お口の中(口腔内)の汚れ(歯垢・プラーク)を専門的に除去する、機械的専門清掃
- フッ素(フッ化物)などの薬物塗布
- 深い溝へのシーラント(小窩裂溝填塞・しょうかれっこうてんそく)
今回のコラムでは、②お口のなかの汚れを専門的に除去する、機械的専門清掃で使う道具や効果について詳しく説明していきます。
機械的専門清掃
機械的専門清掃とは、スウェーデンの歯科医師ペール・アクセルソン教授が提唱した予防歯科医療の施術のことです。お口の専門家である歯科医師や歯科衛生士による徹底した歯面清掃のことを言います。PMTCと略されることがあります。これは
Professional 専門家が
Mechanical 専用の機械を使って
Tooth 歯を
Cleaning クリーニングする
という意味で、それぞれの頭文字を取ったものです。
PMTCの目的は、普段の歯磨きでは磨きにくい部分のプラーク(磨き残しや歯垢)やバイオフィルムを落としたり、除去することで虫歯や歯周病になりにくい環境を整えることです。
機械的専門清掃(PMTC)で使用する器具
コントラアングルハンドピース
歯面研磨用の道具を付けるモーターで動く道具です。
歯を削る道具に比べ、回転数が高くないので、歯茎(歯ぐき)を傷つける心配もなく、お痛みもありません。
歯面清掃用のラバーカップ、ラバーチップ、ポリッシングブラシ
ポリッシングブラシ
ラバーカップでは落としきれないプラークや着色を除去します
ラバーカップ
平らな面の清掃に適しています
ラバーチップ
細かいところや歯と歯の間の清掃に適しています
歯面研磨用のペースト
茶渋やワイン等に代表される着色(ステイン)を除去したり、歯面を滑沢にします。患者様の状態に合わせ、研磨剤の荒さや薬効効果のあるものを選択します
機械的専門清掃(PMTC)の効果
- 虫歯予防・歯質の強化
- 口臭予防
- 着色汚れの除去
虫歯予防・歯質の強化
普段のブラッシングでは届きにくい部分のプラーク歯垢やバイオフィルムを取り除き、再付着を防ぎます。フッ素の入った研磨剤を使うので、再石灰化が期待されます
口臭予防
PMTCでは、口臭の原因のひとつであるプラークを除去することにより、口臭の予防や改善に効果があります
着色汚れの除去
お茶やコーヒー、ワインなどによる着色汚れや、タバコによるヤニなどの汚れを落とすことができ、歯本来の白さを取り戻すことができます
まとめ
- 歯科衛生士さんは歯科衛生士法により、業務が定められている
- PMTCは専用の道具を使って行う
- PMTCにより様々な効果が見込める
PMTCは歯科医院で提供される専門家の行う歯科クリーニングであり、歯やお口の健康を維持したり、向上させるために有効な手段です。個々の患者のニーズに合わせて歯科医師や歯科衛生士と相談し、適切なタイミングで受けることが大切です。